平成27年1月より相続税の基礎控除額が4割引き下げられることにより、相続税の対象者及び対象財産が増えます。これを受けて「相続税対策として不動産投資をしましょう!」というセミナーが各地で行われています。
理屈はこうです。仮に1億円の預金があったとして、そのまま相続が発生したら1億円が課税対象となります。一方、この1億円を使って不動産を購入した場合、相続税上の当該不動産の評価額はかなり減額されます。例えば評価額が5千万円になったとすれば、1億-5千万=5千万だけ課税対象が減ることになります。
ただ、これだと銀行さんが商売になりません。そこで下記の提案がなされます。
「1億円借金して1億円の不動産投資をすれば節税対策になります」
理屈は先程と同じなのですが、元手が借金という点が異なります。つまり、相続におけるプラスの財産は不動産の評価額5千万である一方、マイナスの財産が借金1億そのままなので、トータルの相続財産は5千万-1億=△5千万となり、その分相続税の課税対象を減額できるということです。
コレ資産が何十億もあるお金持ちの方には意味があると思いますが、そこまでではない方には果たしてどうなのでしょう。当たり前ですけど借金1億円はそのまま相続されてしまいます。
不動産の運用による収支がキチンと黒字になるのかしっかり検討する必要があります。相続対策であるとは言え、あくまでも「投資」である点、忘れてはならないと思います。