岡山市倉敷市の公認会計士 税理士 森島会計事務所

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相続税・贈与税

コロナ関連 申告と納税期限

コロナに関連して国税庁が税務上の取り扱いQ&Aを出しています。申告・納税期限が原則下記のとおりになりました。

Q&A

  • 所得税     3/16→4/16(振替納税は5/15)個別申請によりさらに延長可
  • 個人消費税 3/31→4/16(振替納税は5/19)個別申請によりさらに延長可
  • 贈与税     3/16→4/16 個別申請によりさらに延長可
  • 法人税   個別申請により延長可
  • 法人消費税 個別申請により延長可

日本には3月末決算の法人が多く、当該法人は通常通りですと法人税及び消費税を5月末までに申告・納税しなければなりません。個人的には法人税等も一律延期すべきだと思ってます。でないと外出自粛要請の意味がないですよね。

 

平成27年度税制改正一覧

昨年12月30日(火)に経済産業省のHPにて「平成27年度税制改正について」が公表されましたので、その一覧(目次)を掲載致します。内容については後日投稿していきます。

「経済産業関係 平成27年度税制改正について」の内容(目次)

1.主要項目
(1) 法人税改革
(1-1)法人実効税率の引下げ
(1-2)中小企業者等に係る軽減税率の維持、中小法人への外形拡大の阻止
(1-3)課税ベース拡大(外形標準課税の拡充、欠損金繰越控除制度の縮減、受取配当益金不算入制度の縮減)
(2) 研究開発税制の強化・重点化
(3) 地方拠点強化税制の創設
(4) 車体課税の見直し

2.重要項目
(1) 中小企業・地域
(1-1)事業承継税制の拡充
個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置等の検討
(1-2)商業・サービス業・農林水産業活性化税制の延長
(1-3)地方を訪れる外国人旅行者向け消費税免税店の拡大
(1-4)中心市街地活性化のための税制措置の延長
(1-5)償却資産課税の抜本的見直し
(3) 資源・エネルギー
(2-1)軽油引取税の課税免除の特例措置の延長
(2-2)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の即時償却の適用期限の延長-グリーン投資減税-
(2-3)森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策のための財源について(検討)
(3) 国際課税
(3-1)外国子会社合算税制における適用除外基準等の見直し
(3-2)国境を越えた役務の提供に対する消費税制度の見直し
(4) その他
地域経済・中小企業関連
エネルギー・資源・技術革新関連
その他

以 上

相続対策「考えていない」84%

今日の日経の一記事のタイトルです。

理由は「相続するような財産がない」「相続税がかからない」といったお馴染みの回答が並びます。この記事でも説明があるのですが、相続で揉めるのは大抵、こういった理由の方々なんですよね。お金持ちの方のみの話ではありません。

例えば、「今まで住んできた土地と家屋と少々の預金が相続財産」という場合が結構多いかと思われますが、そういう状況こそ相続の際揉めます。確かに相続税はかからないことが多いですが、問題は遺産分割です。

この土地家屋、どうやって分けますか?

相続人が3人であるとして、ケーキみたいにキレイに3等分に分けられるでしょうか?

例えば長男が全て相続するとして、他の兄弟が納得するでしょうか?

では長男が他の兄弟に金銭を支払うとして、その資金はあるのでしょうか?

土地家屋を3人で共有した場合、その処分はどうするのでしょうか?

・・・と、少し考えただけでも問題は山積みであることがわかります。

相続対策は金額の多寡ではありません。どのご家庭でも前もって対応しておく必要があります。その大前提として、被相続人が生前に自身の財産をどう分配するのかを決め、相続人らに伝えておくこと。これが相続トラブルを防ぐ第一歩となります。

生前に相続の話をするのはどうしても気が引けるものです。しかし、ご家族の円滑な人間関係のためにもあえて話をする「勇気」が必要なのかと思われます。

相続対策としての不動産投資

平成27年1月より相続税の基礎控除額が4割引き下げられることにより、相続税の対象者及び対象財産が増えます。これを受けて「相続税対策として不動産投資をしましょう!」というセミナーが各地で行われています。

理屈はこうです。仮に1億円の預金があったとして、そのまま相続が発生したら1億円が課税対象となります。一方、この1億円を使って不動産を購入した場合、相続税上の当該不動産の評価額はかなり減額されます。例えば評価額が5千万円になったとすれば、1億-5千万=5千万だけ課税対象が減ることになります。

ただ、これだと銀行さんが商売になりません。そこで下記の提案がなされます。

「1億円借金して1億円の不動産投資をすれば節税対策になります」

理屈は先程と同じなのですが、元手が借金という点が異なります。つまり、相続におけるプラスの財産は不動産の評価額5千万である一方、マイナスの財産が借金1億そのままなので、トータルの相続財産は5千万-1億=△5千万となり、その分相続税の課税対象を減額できるということです。

コレ資産が何十億もあるお金持ちの方には意味があると思いますが、そこまでではない方には果たしてどうなのでしょう。当たり前ですけど借金1億円はそのまま相続されてしまいます。

不動産の運用による収支がキチンと黒字になるのかしっかり検討する必要があります。相続対策であるとは言え、あくまでも「投資」である点、忘れてはならないと思います。

 

 

 

平成26年分の路線価図公表

7月1日に国税庁から「平成26年分 路線価図等」が公表されました。路線価とは主に市街化地域における土地1㎡あたりの評価額のことで、相続や贈与の際、土地の課税額を決定するのに用いられます。

将来の相続に備えて、路線価を用いて予め土地の評価をしておくのが得策と言えます。特に難しい話ではありません。路線価図を見て、自分が所有している土地が接する道路に記載されている金額を見つけ、その金額に地積(㎡)を乗じて終了です。土地のかたちがいびつな場合、細かい評価減額等ありますが、ざっくり計算ならそこまで考慮する必要はありません。

ご自身の財産がどれくらいの金額なのか、ざっくりでも知っているのと知らないのとでは、心持ちが全く違ってきます。ぜひ計算をしていただければと思います。

 

相続は争族? その2

前回のブログで「相続は争族です。事前の準備が重要です。」的なコメントをしましたが、一つ言い忘れたことがありました。それは、

「争族はお金持ちに限った話ではない。」という点です。

平成27年1月1日より相続税の基礎控除額が引き下げられることから、相続税の対象となる相続が増加するというのもあるのですが、そもそも相続税が発生しようがしまいが「争族」は起こりうるのです。

相続財産のほとんどが現金預金等の金融資産のみであれば、それを相続人で配分すればすむ話ですが、実際の相続で対象となる資産というのは「土地・建物」といった不動産が多いと思います。この不動産、おいそれと配分できませんよね。昔は家長制度の流れから家を継ぐ長男が全ての遺産を相続し、他の兄弟は相続放棄、というのもあったかもしれませんが、個人の権利が制度的・精神的に強くなった昨今ではそんなのもはや絵空事(笑)みなさんしっかり自身の権利を主張されます。

さてここで相続が発生し、遺産が被相続人(母)が住んでいた土地建物(時価4,500万・一軒家)のみだったとします。相続人は子3人で長男が母と同居しており、他の兄弟は皆独立してそれぞれ家庭を持っているケースを考えます。相続人が全て相続の権利を主張し、かつ母の遺言がない場合、相続の方法は以下の3通りくらいしかないかと思われます。

  1. 長男が土地建物を相続し、2人の兄弟に1,500万ずつ支払う(代償分割といいます)
  2. 土地建物を処分(売却)し、兄弟全員が1,500万ずつ受け取る(換価分割といいます)
  3. 土地建物を兄弟3人で共有する

1の場合は長男が支払資金を確保することが必要となります。また、2の場合は長男が住んでいた家を出ていく必要があります。残るは3ですか。これは問題がなさそう?いえいえとんでもない。大いに問題あります。仮に兄弟が仲が良く、長男がそこに住み続けてもいいことになれば問題はないようにも思われますが、将来兄弟仲が悪くなったらどうでしょうか?あるいは兄弟の子達が将来相続を受けることになったとき権利者は何人?兄弟にそれぞれ2人ずつ相続人がいたとしたら3×2=6人です。6人で共有?果たしてうまくいくでしょうか?

・・・といった具合で、いずれにせよ何か「キナ臭さ」を感じませんでしょうか?たとえ相続税が発生しなくとも、相続はおおいに「争族」になりうるのです。我々には関係ない、と傍観するのではなく「争族」は自身の身にも降りかかりうるものだという意識は最低限持っておく必要があるかと思います。

 

相続は争族?

昨日テレビを見ていたら「相続」をテーマにしたバラエティ番組をやっていたので何気に拝見しておりました。まずは税制改正により平成27年1月1日以後の相続から基礎控除額が改定される旨の説明がありました。

(現行)基礎控除額=5,000万+1,000万×法定相続人数

(改正)基礎控除額=3,000万+600万×法定相続人数

法定相続人が3人とした場合、基礎控除額は以下のとおりとなります。

(現行)基礎控除額=5,000万+1,000万×3=8,000万

(改正)基礎控除額=3,000万+600万×3=4,800万

つまり、現行では相続財産が8,000万の相続では相続税は発生しませんが、改正後では相続税が発生しうるということ。皆さん注意してくださいねという内容です。

その後は、相続の際によく起こるトラブルをドラマ仕立てでわかりやすく解説してくれます。

とある老夫婦には子供が3人(長男、長女、次女)いて、姉妹はよく親の面倒をみるが長男はほったらかし。そんな中、母が亡くなりました。家族が悲しみにくれているところ、長男がズカズカ入ってきて、「遺産よこせ」。この展開、わかりやすすぎますね(笑)しかし、母は生前、自筆の遺言書を残しており、その内容は「遺産は父と娘2人にのみ遺す」というものでした。めでたしめでたし・・とはいかず、その遺言書には日付が「○月吉日」となっており無効!長男にまんまと遺産を取られてしまうのでした。

その後、次は父が亡くなります。母の時の教訓を活かし、父は生前、自筆ではなく公正証書による遺言を残してました。公正証書遺言とは第三者である公証人が作成する遺言書で、法律面のチェックができるため、自筆の時の日付の記載漏れといったミスはおこりません。遺言書の内容は「遺産はすべて娘2人に遺す」というもの。これでようやく長男を排除!めでたしめでたし・・・とはいかず、長男には「遺留分」を請求されてしまうのでした。遺留分とは法定相続人が相続財産を最低限請求できる権利です。結局、娘は遺留分を自身の預金を切り崩して長男に支払ったのでした。うーむ、悔しい!!というところで再現ドラマは終了します。

このドラマ、とてもわかりやすくておもしろかったです。ポイントは二つですね。

  1. 遺言書は自筆ではなく公正証書とすべし
  2. 遺言書を作っても遺留分に留意すべし。

相続における基本中の基本です。特に遺留分は行使されることを前提にその資金をあらかじめ準備しておくことが肝要です。

ところで、このドラマを見て思ったのが、このご家族はなぜ弁護士等の専門家にこの件を相談しなかったのだろうかということです。公正証書遺言や遺留分のくだりは専門家なら絶対に見過ごしません。このご家族は多少の報酬を払ってでも専門家に相談すべきだったと思います。そうしなかったため、結局長男に遺産を権利分フルにもっていかれることになりました。どちらが高くついたかということですね。まぁドラマに突っ込んでもしょうがないのですが。。。「相続は争族」とよく言われます。「我々は関係ない」とスルーするのではなく早めの対策が必要かと思われます。

婚外子の相続規定が違憲

9月4日、婚姻関係にない子(婚外子)の相続分を婚姻関係にある子(嫡出子)の半分とする民法の定めを「違憲」とする判断が、最高裁大法廷で決定されました。裁判官14人の全員一致の判断という点が目を見張ります。厳格な法律婚主義よりも個人の人権が優先されたということで、社会全体の価値観の変化がもたらした結果と言えるでしょう。
税理士としては、「婚外子の法定相続分は嫡出子の1/2」と暗記していましたが、これを改めないといけませんね。法律も常に変わっていくのでキャッチアップもなかなか大変です。
ちなみに、今回の判決は過去決着済の遺産分割には影響しないとの言及がなされていますが、これ当事者の方々は納得できるのでしょうか?「はい、そうですか。」とは簡単に言えないのではないですかね。

平成25年度税制改正大綱 相続税③

今回の税制改正で小規模宅地等の特例について見直しが行われます。具体的には、特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積が現行の240㎡から330㎡まで拡大しました。

小規模宅地等の特例とは、個人が相続等により取得した財産のうち、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等について、相続税の課税価格を一定額減額する制度を言います。居住用宅地については240㎡を限度とし80%の割合で減額されていました。例えば、居住用宅地が150㎡であれば80%の120㎡、240㎡であれば80%の192㎡が減額の対象となります。土地の相続税評価額=100,000円/㎡であれば、以下のとおり減額されます。

100,000円/㎡×120㎡=12,000,000円

100,000円/㎡×192㎡=19,200,000円

要は納税者有利の数少ないアメ制度になります。相続税の税制改正については、基礎控除額の引下や相続税率の上昇などムチばかりが目立っていたのでここらでガス抜き制度をブチ込んできたと言えますね。

なお、この改正は平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

平成25年度税制改正大綱 相続税②

続いては事業承継税制です。非上場株式に係る相続税・贈与税の納税猶予制度についていくつかの見直しが行われています。ちなみに相続税・贈与税の納税猶予とは、後継者が自社株式を相続あるいは贈与を受けた場合に、当然かかるはずの相続税あるいは贈与税の課税が後継者の死亡等まで猶予される制度です。

改正された内容の中で注目すべきは「利子税の免除」です。改正大綱の中に、「経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)の経過後に納税猶予税額の全部又は一部を納付する場合については当該期間中の利子税を免除することとする。」とあり、利子税の割合が年2.1%から0.9%に引き下がるとあります(特例基準割合が2%の場合)。

この事業承継税制は従来からあったのですが、この利子税が怖くてなかなか手が出せないという話を聞いたことがあります。例えば、もし相続税・贈与税の納税期限の翌日から5年後に納税猶予の要件が切れたら、5年前まで遡って利子税が課税されてしまうのです(年利2.1%の単利計算)。今回の0.9%への引き下げで事業承継税制の活用が少しでも後押しされればと考えています。