岡山市倉敷市の公認会計士 税理士 森島会計事務所

岡山市・倉敷市の公認会計士・税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士です

TEL: 086-362-0375

FAX: 086-239-4950

〒709-1213 岡山市南区彦崎2910-3

04月

連結会計とは

前回「連結納税」について少しお話しましたが、今回は「連結」つながりで「連結会計」について少し触れたいと思います。連結会計とは親会社のみならず、子会社等を含めたグループ全体の財政状態及び経営成績等を開示する会計制度のことをいいます。連結会計により作成された財務諸表を連結財務諸表と言い、上場会社ではこの連結財務諸表の作成が金融商品取引法により義務付けられています。つまり「連結納税」とは似て非なるものなんですね。

連結会計を行い連結財務諸表を作成・開示する目的は、親会社を中心とする企業グループの経営活動の実態を把握するためです。例えば、親会社が業績が良くともそれが子会社に対する押込販売によるもので、実は子会社の業績は悪かったとします。もし親会社単体の財務諸表を見ると好成績のため、投資家はこの会社は好調だと誤った判断をしてしまう恐れがあります。でも連結財務諸表を見ると、子会社の不調も反映された状態であるため、投資家はこの企業グループの実態を正確に把握できるでしょう。連結財務諸表で企業グループの業績を判断するのはもはや常識で、有価証券報告書においてもまず連結財務諸表が先に開示され、個別の財務諸表はその後の開示となります。

一般的な中小企業にはこの連結財務諸表の作成義務はありませんが、個人的にはグループ企業がある経営者の方には是非とも作成していただきたいと考えています。グループ全体で業績を把握しないと経営判断を誤る恐れがありますからね。作成方法も大して難しくありません。(1)グループ企業の財務諸表を単純に合算し、そこから(2)内部取引を消去するだけです。イメージは下記表をご参照ください。連結会計は他にも「未実現利益の消去」等ややこしい処理があるのですが、中小企業でそこまでやる必要はないです。業績をある程度把握できればいいんです。足して消去する。これだけで構わないと思います。

連結納税の範囲拡大

企業の親子間で損益を合算する連結納税制度の拡充が政府で検討されています。現在は完全子会社(100%子会社)しか連結納税の対象にできませんが、例えば米国のように8割以上出資する子会社ならば損益通算できるといった検討がなされます。

連結納税制度とはざっくり言うと、グループ会社間で損益を通算した上で課税される制度です(下記表をご参照ください)。例えば親会社で利益が出て、子会社で損失が出た場合、単体納税制度だと親会社に課税されて終わりですが、連結納税制度だと親会社の利益と子会社の損失を相殺した上で課税されるため、納税上有利になることが多いのです。これだけ見ると納税者有利な制度ですが、どうもあまり世に浸透している様子がありません。その理由として連結納税導入時に子会社の繰越欠損金が切り捨てられるというのがありました。しかし、平成22年度税制改正により、一定の要件のもと子会社の繰越欠損金も相殺対象となったため、この件については解決したはずです。でもなぜか盛り上がらないんですよね(笑)

これは個人的見解なのですが、やはり大きな原因は税務処理の煩雑化ではないでしょうか。連結納税制度自体かなり複雑な制度のため新システムの導入は必須ですし、グループ全体で税務計算を行うため親会社の事務処理の負担は相当大きくなると予想されます。あと、一方で住民税・事業税は変わらず単体納税制度を適用となるので余計ややこしくなります。なので大企業はともかくとして中小企業はなかなか手が出せないのではないでしょうか。制度自体もっと簡素化してもらえればいいのになとは思います。