岡山市倉敷市の公認会計士 税理士 森島会計事務所

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2013年

相続は争族? その2

前回のブログで「相続は争族です。事前の準備が重要です。」的なコメントをしましたが、一つ言い忘れたことがありました。それは、

「争族はお金持ちに限った話ではない。」という点です。

平成27年1月1日より相続税の基礎控除額が引き下げられることから、相続税の対象となる相続が増加するというのもあるのですが、そもそも相続税が発生しようがしまいが「争族」は起こりうるのです。

相続財産のほとんどが現金預金等の金融資産のみであれば、それを相続人で配分すればすむ話ですが、実際の相続で対象となる資産というのは「土地・建物」といった不動産が多いと思います。この不動産、おいそれと配分できませんよね。昔は家長制度の流れから家を継ぐ長男が全ての遺産を相続し、他の兄弟は相続放棄、というのもあったかもしれませんが、個人の権利が制度的・精神的に強くなった昨今ではそんなのもはや絵空事(笑)みなさんしっかり自身の権利を主張されます。

さてここで相続が発生し、遺産が被相続人(母)が住んでいた土地建物(時価4,500万・一軒家)のみだったとします。相続人は子3人で長男が母と同居しており、他の兄弟は皆独立してそれぞれ家庭を持っているケースを考えます。相続人が全て相続の権利を主張し、かつ母の遺言がない場合、相続の方法は以下の3通りくらいしかないかと思われます。

  1. 長男が土地建物を相続し、2人の兄弟に1,500万ずつ支払う(代償分割といいます)
  2. 土地建物を処分(売却)し、兄弟全員が1,500万ずつ受け取る(換価分割といいます)
  3. 土地建物を兄弟3人で共有する

1の場合は長男が支払資金を確保することが必要となります。また、2の場合は長男が住んでいた家を出ていく必要があります。残るは3ですか。これは問題がなさそう?いえいえとんでもない。大いに問題あります。仮に兄弟が仲が良く、長男がそこに住み続けてもいいことになれば問題はないようにも思われますが、将来兄弟仲が悪くなったらどうでしょうか?あるいは兄弟の子達が将来相続を受けることになったとき権利者は何人?兄弟にそれぞれ2人ずつ相続人がいたとしたら3×2=6人です。6人で共有?果たしてうまくいくでしょうか?

・・・といった具合で、いずれにせよ何か「キナ臭さ」を感じませんでしょうか?たとえ相続税が発生しなくとも、相続はおおいに「争族」になりうるのです。我々には関係ない、と傍観するのではなく「争族」は自身の身にも降りかかりうるものだという意識は最低限持っておく必要があるかと思います。

 

相続は争族?

昨日テレビを見ていたら「相続」をテーマにしたバラエティ番組をやっていたので何気に拝見しておりました。まずは税制改正により平成27年1月1日以後の相続から基礎控除額が改定される旨の説明がありました。

(現行)基礎控除額=5,000万+1,000万×法定相続人数

(改正)基礎控除額=3,000万+600万×法定相続人数

法定相続人が3人とした場合、基礎控除額は以下のとおりとなります。

(現行)基礎控除額=5,000万+1,000万×3=8,000万

(改正)基礎控除額=3,000万+600万×3=4,800万

つまり、現行では相続財産が8,000万の相続では相続税は発生しませんが、改正後では相続税が発生しうるということ。皆さん注意してくださいねという内容です。

その後は、相続の際によく起こるトラブルをドラマ仕立てでわかりやすく解説してくれます。

とある老夫婦には子供が3人(長男、長女、次女)いて、姉妹はよく親の面倒をみるが長男はほったらかし。そんな中、母が亡くなりました。家族が悲しみにくれているところ、長男がズカズカ入ってきて、「遺産よこせ」。この展開、わかりやすすぎますね(笑)しかし、母は生前、自筆の遺言書を残しており、その内容は「遺産は父と娘2人にのみ遺す」というものでした。めでたしめでたし・・とはいかず、その遺言書には日付が「○月吉日」となっており無効!長男にまんまと遺産を取られてしまうのでした。

その後、次は父が亡くなります。母の時の教訓を活かし、父は生前、自筆ではなく公正証書による遺言を残してました。公正証書遺言とは第三者である公証人が作成する遺言書で、法律面のチェックができるため、自筆の時の日付の記載漏れといったミスはおこりません。遺言書の内容は「遺産はすべて娘2人に遺す」というもの。これでようやく長男を排除!めでたしめでたし・・・とはいかず、長男には「遺留分」を請求されてしまうのでした。遺留分とは法定相続人が相続財産を最低限請求できる権利です。結局、娘は遺留分を自身の預金を切り崩して長男に支払ったのでした。うーむ、悔しい!!というところで再現ドラマは終了します。

このドラマ、とてもわかりやすくておもしろかったです。ポイントは二つですね。

  1. 遺言書は自筆ではなく公正証書とすべし
  2. 遺言書を作っても遺留分に留意すべし。

相続における基本中の基本です。特に遺留分は行使されることを前提にその資金をあらかじめ準備しておくことが肝要です。

ところで、このドラマを見て思ったのが、このご家族はなぜ弁護士等の専門家にこの件を相談しなかったのだろうかということです。公正証書遺言や遺留分のくだりは専門家なら絶対に見過ごしません。このご家族は多少の報酬を払ってでも専門家に相談すべきだったと思います。そうしなかったため、結局長男に遺産を権利分フルにもっていかれることになりました。どちらが高くついたかということですね。まぁドラマに突っ込んでもしょうがないのですが。。。「相続は争族」とよく言われます。「我々は関係ない」とスルーするのではなく早めの対策が必要かと思われます。

婚外子の相続規定が違憲

9月4日、婚姻関係にない子(婚外子)の相続分を婚姻関係にある子(嫡出子)の半分とする民法の定めを「違憲」とする判断が、最高裁大法廷で決定されました。裁判官14人の全員一致の判断という点が目を見張ります。厳格な法律婚主義よりも個人の人権が優先されたということで、社会全体の価値観の変化がもたらした結果と言えるでしょう。
税理士としては、「婚外子の法定相続分は嫡出子の1/2」と暗記していましたが、これを改めないといけませんね。法律も常に変わっていくのでキャッチアップもなかなか大変です。
ちなみに、今回の判決は過去決着済の遺産分割には影響しないとの言及がなされていますが、これ当事者の方々は納得できるのでしょうか?「はい、そうですか。」とは簡単に言えないのではないですかね。

簿記の勉強

私もこの業界に入って長いのですが、大学ではじめて「簿記」を勉強したときは「なんてとっつきにくい科目なんだ」と憤慨(笑)したものです。最初はとりあえず「仕訳」を覚えさせられます。でもその仕訳の意味がわからないんですね。商業高校出身の友人に尋ねても、「いや、そういうものだからとりあえず覚えて」と捨て置かれた記憶があります。意味がわからないものを覚えていく作業ははっきり言って苦痛です。なので大学では「会計」から遠ざかっていきました(泣)
なんでもそうですが、やはり勉強する対象の「全体像」を把握しないと興味が失せます。木ではなく森をまず知りたい。では簿記でいう森って何なんだろう?これ結構難しくないですか?
そこで簿記の森(=全体像)を私なりにまとめてみました。ダラダラ書いても締りがないので必要最低限の部分だけ、A4横一枚に収まるように。よかったら参考にしてみてください。

経営理念とは? その2

(前回ブログ)経営理念とは? からの続き

先日経営理念についてコメントしましたが、ではそもそも経営理念ってどう作ればいいの?という話になるかと思います。結論から言いますと経営者が会社を通じて「やりたいこと」を端的に表現すればいいです。ただ、これだけだとやはりピンとこないかもしれません。

例えば、先日テレビ東京で放送された「カンブリア宮殿」という番組で「中央タクシー」という長野のタクシー会社が取り上げられていました。その会社の経営理念が「客の幸せが先、利益は後」と非常にわかりやすいものとなってます。私この番組を拝見しましたが、この会社の意思決定は全てこの経営理念を前提になされていました。長野の自宅から成田空港までの長距離タクシーも当初は採算度外視だったのですが、お客さんが喜んでくれたため続けたそうです。会社の意思決定の前提、価値基準となるもの。それが経営理念ということです。

ではどう作ればいいかですが、個人的にはその目安として①倫理観と②使命感の2つが挙げられるかと思います。①は「あなたがどんな人間でありたいか。」であり、「誠実に」、「正直に」、「和」などがキーワードとなるでしょう。②は「あなたが社会に対してどうしたいか。」であり、「地域に貢献」や「顧客の幸せ」等が考えられます。これらを組み合わせて最終的に「どうするか」を決定します。わかりやすいのだと「製品(サービス)を提供する」とかでしょうか。これで経営理念ができあがるかと思います。ただしあくまで目安だとお考え下さい。先の中央タクシーの例ですと「客の幸せが先」という言葉が②に該当するのかもしれませんね。

経営理念はどの会社でも当然あるかと思いますが、これを期にもう一度再確認していただくのもいいかもしれません。

 

経営理念とは?

今回は経営についてお話したいと思います。「経営で一番大事なモノは何?」と聞かれた時、皆さんはどのように答えるでしょうか。お金、商品、従業員、情報・・・色々あると思います。もちろんこれらも重要なんですが、まず第一に挙げたいのは「経営理念」です。

「いや、そんな教科書的なこと言われてもねぇ・・。」と思われる方も多いでしょうが、案外バカにできないものです。経営理念とは会社が有する価値観のこと。会社として何が大事で、何が大事でないか、その判断基準となるモノサシとでも言いましょうか。

このモノサシは、例えば「お客様至上主義」や「従業員を大切にする」など色々挙げられるのですが、いずれにせよ社員全員がこれを共有することが必要となります。社員それぞれのモノサシが違うと行動がバラバラになり統率がとれません。統率が取れない組織は当たり前ですが長続きしません。モノサシを社員で統一し組織として一枚岩になることがまず必要なのです。

「そんなものなくても良い製品・サービスさえあれば問題ないだろ。」という意見があるかもしれません。確かに短期的には問題ないでしょう。しかし、その製品が永遠に競争力を持ったままというのは現実的にありえません。組織として困難にぶち当たった時、会社は何らかの判断を下し行動しなければなりません。その拠り所となるのはやはり共有されたモノサシなのです。

経営で一番大事なモノは何か?繰り返しですが、それは経営理念です。経営者は経営理念を掲げ、それを社員に浸透させなければなりません。

経営理念とは?その2 へ続く

 

「経営革新等支援機関」の認定

平成25年3月末に中小企業金融円滑化法(いわゆるモラトリアム法案)が切れることにより、中小企業の倒産が増加すると懸念されました。その公的支援策の一つとして用意されたのが、平成24年8月30日に施行された中小企業経営力強化支援法による「経営革新等支援機関」の認定です。これは、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験を有する者(個人、法人等)を、国が「経営革新等支援機関」として認定することにより、中小企業から支援機関に対して経営分析や事業計画策定に係る相談の円滑化を図るものです。当事務所は平成25年7月10日に当該機関に認定されました。

中小企業が経営革新等支援機関の経営支援を受けることにより、①信用力に応じた保証料率から約△0.2%減額や②100%保証の同額借換は100%保証等といったメリットがあります。また、経営改善計画に基づく経営改善費用について3分の2(上限200万円)の補助金も出るようです。

あと、平成25年度税制改正により経営革新等支援機関の支援を要件に適用できる税制も整備されております(詳細は下表参照)。

皆様積極的にご活用ください!

連結会計とは

前回「連結納税」について少しお話しましたが、今回は「連結」つながりで「連結会計」について少し触れたいと思います。連結会計とは親会社のみならず、子会社等を含めたグループ全体の財政状態及び経営成績等を開示する会計制度のことをいいます。連結会計により作成された財務諸表を連結財務諸表と言い、上場会社ではこの連結財務諸表の作成が金融商品取引法により義務付けられています。つまり「連結納税」とは似て非なるものなんですね。

連結会計を行い連結財務諸表を作成・開示する目的は、親会社を中心とする企業グループの経営活動の実態を把握するためです。例えば、親会社が業績が良くともそれが子会社に対する押込販売によるもので、実は子会社の業績は悪かったとします。もし親会社単体の財務諸表を見ると好成績のため、投資家はこの会社は好調だと誤った判断をしてしまう恐れがあります。でも連結財務諸表を見ると、子会社の不調も反映された状態であるため、投資家はこの企業グループの実態を正確に把握できるでしょう。連結財務諸表で企業グループの業績を判断するのはもはや常識で、有価証券報告書においてもまず連結財務諸表が先に開示され、個別の財務諸表はその後の開示となります。

一般的な中小企業にはこの連結財務諸表の作成義務はありませんが、個人的にはグループ企業がある経営者の方には是非とも作成していただきたいと考えています。グループ全体で業績を把握しないと経営判断を誤る恐れがありますからね。作成方法も大して難しくありません。(1)グループ企業の財務諸表を単純に合算し、そこから(2)内部取引を消去するだけです。イメージは下記表をご参照ください。連結会計は他にも「未実現利益の消去」等ややこしい処理があるのですが、中小企業でそこまでやる必要はないです。業績をある程度把握できればいいんです。足して消去する。これだけで構わないと思います。

連結納税の範囲拡大

企業の親子間で損益を合算する連結納税制度の拡充が政府で検討されています。現在は完全子会社(100%子会社)しか連結納税の対象にできませんが、例えば米国のように8割以上出資する子会社ならば損益通算できるといった検討がなされます。

連結納税制度とはざっくり言うと、グループ会社間で損益を通算した上で課税される制度です(下記表をご参照ください)。例えば親会社で利益が出て、子会社で損失が出た場合、単体納税制度だと親会社に課税されて終わりですが、連結納税制度だと親会社の利益と子会社の損失を相殺した上で課税されるため、納税上有利になることが多いのです。これだけ見ると納税者有利な制度ですが、どうもあまり世に浸透している様子がありません。その理由として連結納税導入時に子会社の繰越欠損金が切り捨てられるというのがありました。しかし、平成22年度税制改正により、一定の要件のもと子会社の繰越欠損金も相殺対象となったため、この件については解決したはずです。でもなぜか盛り上がらないんですよね(笑)

これは個人的見解なのですが、やはり大きな原因は税務処理の煩雑化ではないでしょうか。連結納税制度自体かなり複雑な制度のため新システムの導入は必須ですし、グループ全体で税務計算を行うため親会社の事務処理の負担は相当大きくなると予想されます。あと、一方で住民税・事業税は変わらず単体納税制度を適用となるので余計ややこしくなります。なので大企業はともかくとして中小企業はなかなか手が出せないのではないでしょうか。制度自体もっと簡素化してもらえればいいのになとは思います。

仕入税額控除の95%ルール見直し

従来、消費税の計算において売上のほとんど(95%以上)が課税売上の場合、全ての課税仕入について仕入税額控除が認められていました(いわゆる95%ルール)。しかし、平成23年度税制改正により、95%ルールの対象者が中小事業者(年間売上が5億円以下の事業者)に限定されることとなりました。年間売上が5億円超の事業者は仕入税額控除の計算にあたり、①個別対応方式と②一括比例配分方式のいずれかを選択適用する必要があります。両者のイメージは下記表をご覧ください。

当該改正は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されるため、実務上平成25年3月末決算の会社から該当することになります。各社は①と②を比較考量し、有利な方を選択することになると思いますが、仮に①を適用する場合は、課税仕入を下記表のように3種類に分ける必要があり、あらかじめ分類ができていないと①の適用は実質無理ということになります。

それもあってか、昨年の今頃は全国の税理士先生が95%ルールの改正について顧問先に説明に回ってらっしゃったと思います。「①を採用するなら仕訳の段階で課税仕入の分類が必要ですよ!」てな感じで。

基本的には①を採用した方が税務上有利になることが多いですが、その反面仕訳上の手間がかかります。その金額的メリットと手間のデメリットを比較して①か②を決定する会社さんが多数なのではないかと思います。