岡山市倉敷市の公認会計士 税理士 森島会計事務所

岡山市・倉敷市の公認会計士・税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士です

TEL: 086-362-0375

FAX: 086-239-4950

〒709-1213 岡山市南区彦崎2910-3

01月

平成25年度税制改正大綱 相続税②

続いては事業承継税制です。非上場株式に係る相続税・贈与税の納税猶予制度についていくつかの見直しが行われています。ちなみに相続税・贈与税の納税猶予とは、後継者が自社株式を相続あるいは贈与を受けた場合に、当然かかるはずの相続税あるいは贈与税の課税が後継者の死亡等まで猶予される制度です。

改正された内容の中で注目すべきは「利子税の免除」です。改正大綱の中に、「経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)の経過後に納税猶予税額の全部又は一部を納付する場合については当該期間中の利子税を免除することとする。」とあり、利子税の割合が年2.1%から0.9%に引き下がるとあります(特例基準割合が2%の場合)。

この事業承継税制は従来からあったのですが、この利子税が怖くてなかなか手が出せないという話を聞いたことがあります。例えば、もし相続税・贈与税の納税期限の翌日から5年後に納税猶予の要件が切れたら、5年前まで遡って利子税が課税されてしまうのです(年利2.1%の単利計算)。今回の0.9%への引き下げで事業承継税制の活用が少しでも後押しされればと考えています。

平成25年度税制改正大綱 贈与税①

平成25年度税制改正大綱にて、贈与財産に係る贈与税の税率構造が見直されました。改正により贈与は次の2つのパターンに分けられ、それぞれ税率が異なります。なお相続時精算課税は除きます。

  1. 20歳以上の者が直系尊属から受けた贈与(私はこれを特定の贈与と勝手に呼びます)
  2. その他の贈与

ちなみに直系尊属とは祖父母、父母など自分より前の世代で直通する系統の親族のことです。財産の世代交代を促すため一定金額については税率を抑えたようですね。でもなんか細々した変更に見えますね。やるならもっとガツンとやればいいと思いますが。

なお、当該改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用します。

平成25年度税制改正大綱 相続税①

1月24日に平成25年度税制改正大綱が出ました。以降、このブログで順次取り上げていきたいと思います。

まずは資産課税の相続税・贈与税の見直しです。

前々から言われていた相続税の基礎控除の引き下げと税率の改定が決定されました。現在の相続税課税対象者は被相続人全体の4%程度だそうですが、この基礎控除の引き下げにより納税対象者が大きく増えると予想されます。相続対策が今まで以上に大切になりますね。なお、当該改正は平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

住宅ローン減税で現金給付

取り急ぎご報告の第3弾です。

自民党は1月9日、2014年4月の消費税増税後に住宅購入した者に対し現金給付制度を設ける方針を固めました。具体的には住宅ローン減税の利用者を対象とし、所得税及び住民税の減税枠を使い切れなかった部分に対し現金で補填します。さらには住宅ローン減税の住民税の枠も拡大予定です。

従来の住宅ローン減税制度は、所得税から住宅ローン残高に一定率を乗じた額(住宅ローン減税枠)を差し引くものです。ただし、住宅ローン減税枠が余った場合は、さらに住民税から差し引くことができます(最大97,500円)。今回の改正案ではその住民税控除額を97,500円から拡大し、かつ、それでも差し引けなかった住宅ローン減税枠は現金支給するというものです。詳細は下記表をご覧下さい。

それにしても現金給付までやってしまうとは、自民党が野党時代に批判していた民主党のバラマキと果たして何が違うのかよくわかりませんね。

なお、当該改正は2013年1月10日時点で確定ではない点にご留意ください。

孫の教育資金を非課税に

取り急ぎご報告の第2弾です。

自民党は1月9日までに、祖父母が孫に教育資金をまとめて贈与した場合、贈与税を一定額非課税にする方針を固めました。祖父母が信託銀行などに孫名義で口座を作り、将来の教育資金を一括贈与した場合、1人当たり1,000万円~1,500万円を上限に贈与税を非課税とします。

現行でも祖父母が孫等のために進学費用や授業料を払うのは非課税でしたが「祖父母が授業料をその都度直接支払う」といった要件があり、教育費名目であってもまとめて贈与した場合は課税対象でした。今回の改正により「教育名目」であれば一括贈与が非課税で可能となります。高齢者から現役世代への所得移転を促し経済の活性化を図るのが目的と言えます。

ただ、この教育資金の管理が大変ですね。出費内容をその都度チェックしないといけませんし、もし教育以外の利用をしてしまった場合、当該贈与が遡って課税対象になったりするとたまったものじゃありません。こういった弊害を回避するために信託銀行を利用するのでしょうが、これはこれでコストがかさみそうですね。信託銀行と教育業界にとっては、とりあえずは朗報と言えるでしょう。

なお、当該改正は2013年1月10日時点で確定ではない点にご留意ください。

富裕層は増税へ

取り急ぎご報告の第1弾です。

自民・公明両党は1月9日の与党税制協議会で所得税の最高税率を引き上げることを大筋合意しました。現行の所得税は所得が増えれば増えるほど段階的に税率が上がる累進課税制度であり、最高税率は所得1,800万円超に対しての40%です。この最高税率を引き上げて、所得5,000万円超に対して45%の適用を検討しています。これは消費税引上に併せて富裕層への増税を重視した結果です。今後調整が行われ2013年度の与党税制改正大綱に盛り込まれます。

それにしても最高税率45%ですか。住民税10%と合わせると55%ですね。所得の半分以上が税金で持っていかれるというのもなかなかシビアですね。節税対策の重要性が今後さらに増すと思われます。

なお、当該改正は2013年1月10日時点で確定ではない点にご留意ください。

貸倒引当金繰入限度額

当事務所のHPの「カテゴリー欄」を見ると、肝心な「法人税」がありませんでしたね。という訳で今回は今更ながらの法人税から、貸倒引当金の制度変更についてお話します。

平成24年4月1日以後に開始する事業年度から、貸倒引当金制度の対象となる法人は以下に限定されます。特に1に注意です。

  1. 中小法人等(資本金又は出資金の額が1億円以下の法人、ただし大法人との間に完全支配関係のあるものを除く)
  2. 銀行、保険会社その他これらに準ずる法人
  3. リース債権等を有する法人

上記以外の法人は、経過措置として3年間は従来の損金算入限度額に対して一定割合を乗じた金額を繰入限度額とし、以後の適用はなくなります。添付資料を参考にしてみてください。

  1. 平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する事業年度 3/4
  2. 平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度 2/4
  3. 平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度 1/4

引当金最後の砦とも言える貸倒引当金にもいよいよメスが入りました。これで会計と税務はますます仲が悪く・・、もとい乖離していきます。先日投稿した「税効果会計」の範囲がそれだけ広がることになりますね。

添付資料

消費税率の引き上げ

消費税増税案が平成24年8月に国会で成立し、平成26年4月1日から8%に、平成27年10月1日から10%になることが決定したのは記憶に新しいところだと思います。増税前の駆け込み需要とその反動による需要減。あるいは請求書発行やレジシステムの変更、会計システムの対応等それなりの混乱が予想されるでしょう。複数税率も検討されていますが実務家としてはこれ以上の消費税申告の煩雑化は是非とも避けて欲しいところです。

ところで、税率の適用ですが、建設請負契約や不動産などの賃貸借契約については「経過措置」が講じられる予定です。具体的には、下記のとおりとなります。

  • 平成25年9月30日までに契約、平成26年4月以降引渡→5%
  • 平成25年10月1日~平成27年3月31日までに契約、平成26年3月31日までに引渡→5%
  • 平成25年10月1日~平成27年3月31日までに契約、平成26年4月1日以降引渡→8%

上だと少々わかりづらいので図にしています。ご参照ください。これを見るとマイホームの購入は平成25年9月30日までに契約すればとりあえずは消費税5%ということになるのでしょうね。

税効果会計って③

前回からの続きです

(前回)税効果会計って②

しつこいようですが再度おさらいです。税効果会計とは税前利益に税率を乗じた額を税金費用とする手続きです。イメージとして添付資料を参考にしてください。税率を超過する部分40は繰延税金資産として計上されます。今回は当期に発生した超過分40のみでしたが、繰延税金資産は過去の超過分も含まれる点にご留意ください。そしてこの繰延税金資産は将来税金を抑える効果がある限りにおいて計上することができるということです。ここで「回収可能性がある場合」と言えば、「お、アナタわかってるね」という風に受け止められますので機会を見て使ってみてください。

今までの説明では超過分の例として、賞与引当金繰入額を引用しました。これを会計用語で一時差異と言います。一時差異とは将来解消される差異です。賞与引当金繰入額100はその時は税金計算上の損になりませんが、将来賞与が支払われた時に税金計算上の損になります。つまりいつかは税金計算上の損になるものを言います。これに対して当期のみならず、未来永劫税金計算上の損にならないものもあります。例としては交際費や寄附金ですね。なぜこれらが損にならないかの説明はここではしませんが、政策上そういうものがあるんだと思ってください。これらを永久差異と言います。今まで述べた税効果会計の対象となるのは一時差異のみであることにご留意ください。なので、税効果会計を適用しても、永久差異がある場合はその分税率が調整されないまま終わってしまうのです。

長くなりましたが、税効果会計の説明はこの辺で終了します。短くしたかったのですが結局長くなってしまいました。最後に、税効果会計の考え方には(1)資産負債法と(2)繰延法の2つがあります。今回の説明は(2)繰延法の考え方で行いました。でも、今の制度上の考え方は(1)資産負債法なんです。(2)で説明した方がわかりやすいのでそうしたまでです。その辺りのツッコミはご遠慮いただければ幸いです(笑)

<添付資料>