岡山市倉敷市の公認会計士 税理士 森島会計事務所

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平成25年分 確定申告会場(岡山)

いよいよ確定申告のシーズンが近づいてまいりました。この時期になるとたまに確定申告のご相談ということで納税者の方から飛び込みのお電話をいただきますが、それに対する回答がほとんど、

「確定申告の時期には税務署主催の無料相談がありますので、それをご利用いただければお金がかかりませんよ。」

となります。これ自ら商売の芽を潰していることに他ならないのですが、納税者の立場に立てば、当然お金はかからない方がいいですから、私も割り切ってお話しさせていただいております。ただ、さすがに何でもかんでも無料相談で済ませるわけにもいかなくて、例えば、不動産の売却による譲渡所得等、金額的影響や難易度が高い案件については無料相談では未対応となり、我々税理士が対応することになるのだと思います。逆に無料相談の対象となるのは、住宅ローン控除、医療費控除、年金所得(*1)、簡易な事業所得・不動産所得(消費税含む)、贈与税あたりでしょうか。

*1  公的年金収入が400万円以下であり、かつ、公的年金以外の所得金額が20万円以下の場合は確定申告の必要はありません。ただし、住民税の申告は必要な場合がありますので詳細はお住まいの市区町村にお尋ねください。

e-Taxによる確定申告

私は昨年から税務署主催による「記帳指導」というのをやっております。記帳指導とは新規開業の個人事業者で帳簿の記帳がよくわからないという方に対して、税務署が税理士を派遣する制度です(無料)。1年間で計4回、個人事業者のもとへ指導に伺うわけですが、いよいよ最終回(第4回目)の時期が近づいてきました。

4回目は当然、確定申告書の作成を行う予定です。確定申告には2つの方法があり、一つはe-Tax(ネット)による申告、もう一つは紙による申告です。国税庁は近年e-Taxを猛烈?にプッシュしているので、税務署の方からは「是非e-Taxを勧めてください!」と念を押されてます。私が担当している個人事業者の方々は今のところe-Taxに前向きな感じです。
ところでこのe-Taxですが、個人的な感想としては「非常に使いやすい」と思っています。手続も簡単ですし、税務署に出向く、あるいは郵送の手間が省けます。申告書自体そもそもネット上で作成できるので、それをそのまま送信するだけなんですね。なので税務署の回し者というわけではないのですが、私からもe-Taxはお勧めです。

e-Taxをはじめるにはパソコン等のネット環境が必要な点は言うまでもありませんが、他に下記の準備が要ります。

  1. 住基カード(電子証明書入り)の入手
  2. カードリーダの購入(5,000円程度)

1は市役所等で入手します。その時、電子証明書の申請も必要となります。2は家電店で購入できます。ちなみに私が使ってるカードリーダはSCR331DI-NTTComです。

これらの準備が整えばe-Taxが可能となります。この手間が大変!というご意見も確かにありますが、興味ある方はチャレンジしてみてください。

相続は争族? その2

前回のブログで「相続は争族です。事前の準備が重要です。」的なコメントをしましたが、一つ言い忘れたことがありました。それは、

「争族はお金持ちに限った話ではない。」という点です。

平成27年1月1日より相続税の基礎控除額が引き下げられることから、相続税の対象となる相続が増加するというのもあるのですが、そもそも相続税が発生しようがしまいが「争族」は起こりうるのです。

相続財産のほとんどが現金預金等の金融資産のみであれば、それを相続人で配分すればすむ話ですが、実際の相続で対象となる資産というのは「土地・建物」といった不動産が多いと思います。この不動産、おいそれと配分できませんよね。昔は家長制度の流れから家を継ぐ長男が全ての遺産を相続し、他の兄弟は相続放棄、というのもあったかもしれませんが、個人の権利が制度的・精神的に強くなった昨今ではそんなのもはや絵空事(笑)みなさんしっかり自身の権利を主張されます。

さてここで相続が発生し、遺産が被相続人(母)が住んでいた土地建物(時価4,500万・一軒家)のみだったとします。相続人は子3人で長男が母と同居しており、他の兄弟は皆独立してそれぞれ家庭を持っているケースを考えます。相続人が全て相続の権利を主張し、かつ母の遺言がない場合、相続の方法は以下の3通りくらいしかないかと思われます。

  1. 長男が土地建物を相続し、2人の兄弟に1,500万ずつ支払う(代償分割といいます)
  2. 土地建物を処分(売却)し、兄弟全員が1,500万ずつ受け取る(換価分割といいます)
  3. 土地建物を兄弟3人で共有する

1の場合は長男が支払資金を確保することが必要となります。また、2の場合は長男が住んでいた家を出ていく必要があります。残るは3ですか。これは問題がなさそう?いえいえとんでもない。大いに問題あります。仮に兄弟が仲が良く、長男がそこに住み続けてもいいことになれば問題はないようにも思われますが、将来兄弟仲が悪くなったらどうでしょうか?あるいは兄弟の子達が将来相続を受けることになったとき権利者は何人?兄弟にそれぞれ2人ずつ相続人がいたとしたら3×2=6人です。6人で共有?果たしてうまくいくでしょうか?

・・・といった具合で、いずれにせよ何か「キナ臭さ」を感じませんでしょうか?たとえ相続税が発生しなくとも、相続はおおいに「争族」になりうるのです。我々には関係ない、と傍観するのではなく「争族」は自身の身にも降りかかりうるものだという意識は最低限持っておく必要があるかと思います。

 

相続は争族?

昨日テレビを見ていたら「相続」をテーマにしたバラエティ番組をやっていたので何気に拝見しておりました。まずは税制改正により平成27年1月1日以後の相続から基礎控除額が改定される旨の説明がありました。

(現行)基礎控除額=5,000万+1,000万×法定相続人数

(改正)基礎控除額=3,000万+600万×法定相続人数

法定相続人が3人とした場合、基礎控除額は以下のとおりとなります。

(現行)基礎控除額=5,000万+1,000万×3=8,000万

(改正)基礎控除額=3,000万+600万×3=4,800万

つまり、現行では相続財産が8,000万の相続では相続税は発生しませんが、改正後では相続税が発生しうるということ。皆さん注意してくださいねという内容です。

その後は、相続の際によく起こるトラブルをドラマ仕立てでわかりやすく解説してくれます。

とある老夫婦には子供が3人(長男、長女、次女)いて、姉妹はよく親の面倒をみるが長男はほったらかし。そんな中、母が亡くなりました。家族が悲しみにくれているところ、長男がズカズカ入ってきて、「遺産よこせ」。この展開、わかりやすすぎますね(笑)しかし、母は生前、自筆の遺言書を残しており、その内容は「遺産は父と娘2人にのみ遺す」というものでした。めでたしめでたし・・とはいかず、その遺言書には日付が「○月吉日」となっており無効!長男にまんまと遺産を取られてしまうのでした。

その後、次は父が亡くなります。母の時の教訓を活かし、父は生前、自筆ではなく公正証書による遺言を残してました。公正証書遺言とは第三者である公証人が作成する遺言書で、法律面のチェックができるため、自筆の時の日付の記載漏れといったミスはおこりません。遺言書の内容は「遺産はすべて娘2人に遺す」というもの。これでようやく長男を排除!めでたしめでたし・・・とはいかず、長男には「遺留分」を請求されてしまうのでした。遺留分とは法定相続人が相続財産を最低限請求できる権利です。結局、娘は遺留分を自身の預金を切り崩して長男に支払ったのでした。うーむ、悔しい!!というところで再現ドラマは終了します。

このドラマ、とてもわかりやすくておもしろかったです。ポイントは二つですね。

  1. 遺言書は自筆ではなく公正証書とすべし
  2. 遺言書を作っても遺留分に留意すべし。

相続における基本中の基本です。特に遺留分は行使されることを前提にその資金をあらかじめ準備しておくことが肝要です。

ところで、このドラマを見て思ったのが、このご家族はなぜ弁護士等の専門家にこの件を相談しなかったのだろうかということです。公正証書遺言や遺留分のくだりは専門家なら絶対に見過ごしません。このご家族は多少の報酬を払ってでも専門家に相談すべきだったと思います。そうしなかったため、結局長男に遺産を権利分フルにもっていかれることになりました。どちらが高くついたかということですね。まぁドラマに突っ込んでもしょうがないのですが。。。「相続は争族」とよく言われます。「我々は関係ない」とスルーするのではなく早めの対策が必要かと思われます。

婚外子の相続規定が違憲

9月4日、婚姻関係にない子(婚外子)の相続分を婚姻関係にある子(嫡出子)の半分とする民法の定めを「違憲」とする判断が、最高裁大法廷で決定されました。裁判官14人の全員一致の判断という点が目を見張ります。厳格な法律婚主義よりも個人の人権が優先されたということで、社会全体の価値観の変化がもたらした結果と言えるでしょう。
税理士としては、「婚外子の法定相続分は嫡出子の1/2」と暗記していましたが、これを改めないといけませんね。法律も常に変わっていくのでキャッチアップもなかなか大変です。
ちなみに、今回の判決は過去決着済の遺産分割には影響しないとの言及がなされていますが、これ当事者の方々は納得できるのでしょうか?「はい、そうですか。」とは簡単に言えないのではないですかね。