岡山市倉敷市の公認会計士 税理士 森島会計事務所

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連結納税の範囲拡大

企業の親子間で損益を合算する連結納税制度の拡充が政府で検討されています。現在は完全子会社(100%子会社)しか連結納税の対象にできませんが、例えば米国のように8割以上出資する子会社ならば損益通算できるといった検討がなされます。

連結納税制度とはざっくり言うと、グループ会社間で損益を通算した上で課税される制度です(下記表をご参照ください)。例えば親会社で利益が出て、子会社で損失が出た場合、単体納税制度だと親会社に課税されて終わりですが、連結納税制度だと親会社の利益と子会社の損失を相殺した上で課税されるため、納税上有利になることが多いのです。これだけ見ると納税者有利な制度ですが、どうもあまり世に浸透している様子がありません。その理由として連結納税導入時に子会社の繰越欠損金が切り捨てられるというのがありました。しかし、平成22年度税制改正により、一定の要件のもと子会社の繰越欠損金も相殺対象となったため、この件については解決したはずです。でもなぜか盛り上がらないんですよね(笑)

これは個人的見解なのですが、やはり大きな原因は税務処理の煩雑化ではないでしょうか。連結納税制度自体かなり複雑な制度のため新システムの導入は必須ですし、グループ全体で税務計算を行うため親会社の事務処理の負担は相当大きくなると予想されます。あと、一方で住民税・事業税は変わらず単体納税制度を適用となるので余計ややこしくなります。なので大企業はともかくとして中小企業はなかなか手が出せないのではないでしょうか。制度自体もっと簡素化してもらえればいいのになとは思います。

仕入税額控除の95%ルール見直し

従来、消費税の計算において売上のほとんど(95%以上)が課税売上の場合、全ての課税仕入について仕入税額控除が認められていました(いわゆる95%ルール)。しかし、平成23年度税制改正により、95%ルールの対象者が中小事業者(年間売上が5億円以下の事業者)に限定されることとなりました。年間売上が5億円超の事業者は仕入税額控除の計算にあたり、①個別対応方式と②一括比例配分方式のいずれかを選択適用する必要があります。両者のイメージは下記表をご覧ください。

当該改正は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されるため、実務上平成25年3月末決算の会社から該当することになります。各社は①と②を比較考量し、有利な方を選択することになると思いますが、仮に①を適用する場合は、課税仕入を下記表のように3種類に分ける必要があり、あらかじめ分類ができていないと①の適用は実質無理ということになります。

それもあってか、昨年の今頃は全国の税理士先生が95%ルールの改正について顧問先に説明に回ってらっしゃったと思います。「①を採用するなら仕訳の段階で課税仕入の分類が必要ですよ!」てな感じで。

基本的には①を採用した方が税務上有利になることが多いですが、その反面仕訳上の手間がかかります。その金額的メリットと手間のデメリットを比較して①か②を決定する会社さんが多数なのではないかと思います。

無料電話相談 2日目

本日無料相談の2日目を終えてきました。基本的には7時間電話が鳴り止まないのでやはり疲れます(汗)。自分なりにはベストを尽くしたつもりですがまだまだ100点とはいきませんね。

今日はいわゆる「クレーム対応」みたいなのもありました。税務上の結論は明確に出ているのですが、納税者がどうしてもそれに納得できない。だから語気も強めに責めてきます。ここで「制度ですから。」と一蹴しては火に油を注ぐだけなのでとにかく話を聞くことにしました。

この単純に「話を聞く」という作業も重要なんですね。納税者の方は一通り意見をおっしゃると少し落ち着きを取り戻します。そこで改めて結論を述べます。もちろん、納税者の方のおっしゃることも一理有り、個人的には制度そのものに不備があるとも思いましたので、そういった個人的な意見も織り交ぜつつ話を進めました。そうして最終的にはご納得いただいたようです。

結論は同じでも話の進め方でお客様の印象も当然変わってきますね。この無料相談では知識面もさることながら、コミュニケーションスキルも実践的に磨けるのでとても勉強になります。

平成25年度税制改正大綱 法人税②

企業による雇用拡大を目指した税制措置が創設されました。

青色申告法人が平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者に対して給与を支給する場合、その法人の雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上である時、その雇用者給与等支給増加額の10%を税額控除できるというものです。

・・相変わらず読みにくいですね(笑) 要は、基準となる給与支給総額があって、その5%以上を上乗せした給与支給総額を払ったとき、その上乗せ分の10%を税額控除するというものです。これでも分かりづらいですかね。詳細は下図をご参照ください。

なお、ここで言う「基準となる給与支給総額」は平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度における給与支給総額のことを言います。つまり、3月末決算の会社だと平成25年3月期の給与支給総額になりますかね。

あと下記のような要件もあります。あてはめが大変そうですね。

  1. 雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額を下回らないこと
  2. 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと

要は給与はどんどん増やしていけ!ってことですね

住宅ローン減税と消費税 比較

先日、税制改正により住宅税制の借入限度額が増加し納税者が有利となる旨の話をしました。しかし一方で、消費税増税により住宅価格は上昇してしまいます。では税制のみを考慮した場合、いったいいつ、いくらの住宅を購入するのが一番有利なのか?そんな納税者の皆様の声が聞こえてきそうです。

今回、その有利不利判定を(勝手に)やってみましたのでここにご報告いたします。住宅価額は3,000万円、4,000万円、5,000万円で場合分けさせていただきました。

住宅ローン減税額-消費税=有利額

とし、この有利額が一番大きくなる組み合わせを検討しました。以下の表とグラフをご参照ください。結論としては、平成26年3月までに3,000万円の住宅を購入するのが税制上一番有利になるようです。反対に、平成27年10月以降に5,000万円の住宅を購入するのが税制上一番不利みたいですね。これは実は当り前の話で、住宅税制の借入限度額は限界(最大4,000万円)があるのに対し、消費税は限界がありません。よって住宅価格が上昇すればするほど消費税の負担が増えるんですね。

なお、これは超ざっくりの簡便計算です。実際のシミュレーションを行う場合は最寄りの税理士にご相談ください