岡山市倉敷市の公認会計士 税理士 森島会計事務所

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相続税・贈与税

平成25年度税制改正大綱 贈与税①

平成25年度税制改正大綱にて、贈与財産に係る贈与税の税率構造が見直されました。改正により贈与は次の2つのパターンに分けられ、それぞれ税率が異なります。なお相続時精算課税は除きます。

  1. 20歳以上の者が直系尊属から受けた贈与(私はこれを特定の贈与と勝手に呼びます)
  2. その他の贈与

ちなみに直系尊属とは祖父母、父母など自分より前の世代で直通する系統の親族のことです。財産の世代交代を促すため一定金額については税率を抑えたようですね。でもなんか細々した変更に見えますね。やるならもっとガツンとやればいいと思いますが。

なお、当該改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用します。

平成25年度税制改正大綱 相続税①

1月24日に平成25年度税制改正大綱が出ました。以降、このブログで順次取り上げていきたいと思います。

まずは資産課税の相続税・贈与税の見直しです。

前々から言われていた相続税の基礎控除の引き下げと税率の改定が決定されました。現在の相続税課税対象者は被相続人全体の4%程度だそうですが、この基礎控除の引き下げにより納税対象者が大きく増えると予想されます。相続対策が今まで以上に大切になりますね。なお、当該改正は平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

孫の教育資金を非課税に

取り急ぎご報告の第2弾です。

自民党は1月9日までに、祖父母が孫に教育資金をまとめて贈与した場合、贈与税を一定額非課税にする方針を固めました。祖父母が信託銀行などに孫名義で口座を作り、将来の教育資金を一括贈与した場合、1人当たり1,000万円~1,500万円を上限に贈与税を非課税とします。

現行でも祖父母が孫等のために進学費用や授業料を払うのは非課税でしたが「祖父母が授業料をその都度直接支払う」といった要件があり、教育費名目であってもまとめて贈与した場合は課税対象でした。今回の改正により「教育名目」であれば一括贈与が非課税で可能となります。高齢者から現役世代への所得移転を促し経済の活性化を図るのが目的と言えます。

ただ、この教育資金の管理が大変ですね。出費内容をその都度チェックしないといけませんし、もし教育以外の利用をしてしまった場合、当該贈与が遡って課税対象になったりするとたまったものじゃありません。こういった弊害を回避するために信託銀行を利用するのでしょうが、これはこれでコストがかさみそうですね。信託銀行と教育業界にとっては、とりあえずは朗報と言えるでしょう。

なお、当該改正は2013年1月10日時点で確定ではない点にご留意ください。

相続の放棄又は限定承認

相続が発生した場合における相続税申告までのスケジュールは下記のとおりとなります。

  1. 相続の開始
  2. 相続の放棄又は限定承認の決定(相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内
  3. 準確定申告(相続の開始があったことを知った時から4ヶ月以内)
  4. 相続税の申告・納付(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内)

この中で一番気をつけておきたいのは2です。「相続の放棄」とは文字通り相続人が相続に関する権利及び義務を一切を放棄することであり、「相続の限定承認」とは相続を受けた人が、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことです。例えば、プラス財産が1,000でマイナス財産が1,500ならば、プラス財産を1,000、マイナス財産を1,000相続することになります。相続の放棄又は限定承認をする場合、相続人は家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。この時、相続人が全員で申述する必要があります。相続の放棄又は限定承認がなされない場合、原則通り相続人は全ての財産を相続することになります。これを単純承認と言います。

さて、話を元に戻しますが、なぜ相続の放棄又は限定承認の決定が一番気をつけるべきことなのか?もし被相続人がサラ金から借金があった場合、業者は相続の放棄又は限定承認の期限である3ヶ月を過ぎてから取立てに来ます。当然ですよね。もし3ヶ月経過する前に取立てに来たら、相続人は相続の放棄か限定承認する可能性が高いです。そうなると借金全額の回収が困難になってしまう。だから3ヶ月経過し、放棄等ができない状況を待って姿を現すのです。相続が開始したら何よりもまず、借金の存在を3ヶ月以内に明らかにすること。これを最優先にすることを頭に入れておいてください。

遺贈について

大女優、森光子さんがお亡くなりになり、残された遺言書に財産の一部をジャニーズの東山紀之さんに渡す旨の記載があったとしてちょっとした話題になっています。相続人は被相続人の家族、具体的には配偶者と①子②親③兄弟姉妹に限られます。この番号は優先順位で、①子がいなければ②親、親もいなければ③兄弟姉妹が対象となります。つまり、赤の他人は相続人にはなり得ないのですが、被相続人が遺言で誰々に遺産を与えると記載した場合、その者は他人であっても、遺産を手にすることができるんですね。これを「遺贈」と言います。今回の件はこれに該当します。

この遺贈という制度、遺族側の視点で言うとたまったモンじゃありません。赤の他人がズカズカ入ってきて財産をかっさらっていくわけですから。森光子さんは家族がいらっしゃらないとのことなので、今回は問題ないですが、通常は超揉めますね。それに一定限度歯止めをかける制度として、「遺留分の減殺請求」というのがあります。遺言の内容に関わらず、遺族が遺産の一部を請求できるというものです。

いずれにせよ、相続はただでさえ「争族」なのに他人まで入ってきたらまさに群雄割拠ですよ。相続の円滑な運営のためにも、「遺贈」はほどほどにと声を大にして言いたい訳であります。